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第9回「新入社員・若手の早期離職はなぜ起こるのか」──働く意味の“空白”問題

2025.11.26 組織力最大化プログラム

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若手の早期離職は、個人の忍耐不足だけで説明できる現象ではありません。
その裏側には、「働く意味がつながらないまま社会に出る」という構造的問題があります。
本記事では、内定〜入社後の“意味づけの空白”がどのように若手のキャリア不調を引き起こし、なぜ初期育成が決定的に重要なのかを整理します。

1.早期離職の核心は「意味がつながらない」こと

多くの若手は、入社した瞬間に迷い始めます。
それは、動機が弱いからではなく、「この仕事は、私の人生のどこにつながるのか?」が見えないからです。

内定者フォローや新人研修では“会社を知る時間”は用意されていますが、「自分の人生との接続」をつくる時間は、ほとんどありません。

そのため入社後、次のような空白が生じます。

  • 業務の意味が理解できない
  • なぜ自分がこの職場にいるのか説明できない
  • 自分の強みを活かせている実感がない
  • 配属によって「人生の方向性を否定された」ように感じる

これらはすべて、意味の空白が招く現象です。

2.若手の“Will-Can-Must”のねじれが生む「迷子状態」

キャリア理論では、
Will(やりたいこと)
Can(できること)
Must(求められること)

の3つの同期が必要だとされます。

しかし若手の場合、この3つが次のように“ねじれて”出現します。

Will(やりたい) → 未定、もしくはSNS由来のイメージに影響されやすい

Can(できる) → 学生時代の経験と職場の業務が断絶している

Must(求められる) → 上司ごとに違い、基準が曖昧

つまり若手は、仕事の意味を再構成する前に、
役割と期待が複雑に絡まり、自己理解が揺さぶられる環境に放り込まれているのです。

このねじれを放置すると、次のような症状が現れます。

  • 「この仕事に向いていないのでは」と思い込み始める
  • 目の前の業務が“ただのタスク”に見える
  • 他社のほうが良い気がして比較が止まらない
  • 自分の“Will”が消えていく

ここで起こるのは、能力不足ではありません。
自己同一性の揺らぎです。

3.初期キャリア形成の要点:若手は“経験”ではなく“意味”で育つ

若手の能力成長は、経験の量だけでは決まりません。
本当に効くのは、経験に対する意味づけです。

例えば、同じ営業ロープレでも、

  • 「怒られた…」で終わる若手
  • 「要求を見抜く力が1つ増えた」と理解する若手

この差は、経験の質ではなく、意味の見つけ方の差です。

若手が成長するには、次の3つのプロセスが不可欠です。

  1. 自分の価値観の言語化(Will)
  2. できていることの再確認(Can)
  3. 期待役割の理解と調整(Must)

これを初期の段階で整備すると、
離職率は大きく下がり、若手の自律性が一気に高まります。

■ 若手の空白を埋める:戦略的研修【案】3本

導入しやすく、かつ専門性の高い形で設計していきます。

① 新入社員向け:初期キャリア・ウェルカムプログラム

目的:
入社直後の“意味の空白”を埋め、仕事と自己のつながりを作る。

主な構成例:

  • 価値観の探索・焦点化(Will の言語化)
  • 学生経験 → 入社理由 → 今の役割のストーリー接続
  • 「なぜこの部署なのか」を自身の言葉で説明
  • 期待役割の可視化(Must の再定義)
  • 初期成功体験の設計(Can の強化)

実施後の効果:

  • 入社3ヶ月の離職兆候が大幅減
  • モチベーション理由が明確になり、迷走しにくい
  • 上司との1on1が話しやすくなる
  • どんな仕事にも“意味”を見出す力が強くなる

なぜこの研修が必要なのか:
最も離職が起こるのは「業務ではなく意味」でつまずくからです。

② 若手育成:Will-Can-Must同期プログラム(1〜3年目向け)

目的:
配属後の“ねじれ”を解消し、若手の自己同一性を安定させる。

主な構成例:

  • Will探索ワーク:仕事観・価値観の再定義
  • Can棚卸し:得意・貢献資源の可視化
  • Must調整:上司・先輩との期待値ギャップの見える化
  • キャリア半年ロードマップづくり
  • 仕事の意味を再構成するリフレクション技法

実施後の効果:

  • “向いていない感”の解消
  • 上司との認識ズレが激減
  • 育成コストが軽減、報連相が自然に増える
  • 同期間の孤立感が減る

なぜこの研修が必要なのか:
若手の迷子状態は“能力差”ではなく認知の解像度の問題だからです。

③ 管理職向け:若手のキャリア支援1on1トレーニング

目的:
管理職が若手のキャリア構造を理解し、“意味を一緒に創れる”存在になる。

主な構成例:

  • 若手世代特性の理解(価値観・認知のクセ)
  • 意味づけを促すための1on1技法
  • 「Willを否定しない」フィードバックデザイン
  • 期待役割の明確化テンプレート
  • 若手の離職予兆を見抜くチェックポイント

実施後の効果:

  • 若手が“安心して話せる”上司が増える
  • 1on1が形式から実質へ
  • 職場のコミュニケーション量が増え、早期離職が明確に減る
  • 若手の自己理解が定着し、育成工数が下がる

なぜこの研修が必要なのか:
若手の離職理由の多くは「仕事内容」ではなく上司とのつながり不足だからです。

若手の離職は“運”でも“根性”でもなく、構造で変えられる

若手が辞めるかとどまるかは、
結局のところ 「意味の空白を埋められる環境があるか」で決まります。

逆に言えば、初期のキャリア設計に少し手を入れるだけで、
職場の空気は驚くほど変わります。

若手は弱いのではなく、
意味づけの支援さえあれば、最速で成長する世代です。

ここから先は、組織ごとの状況に合わせて設計する領域です。
若手育成は“やり方”ではなく“構造づくり”が鍵になります。