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第8回「管理職がキャリア支援型マネジメントに移行すべき理由」指導型マネジメントの限界/部下のキャリア支援構造/1on1運用の成功要因と落とし穴

2025.11.26 組織力最大化プログラム

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管理職の役割は、劇的に変わりました。
成果を出し、部下を導き、現場をまとめる——この“指導型”アプローチは、もはや万能モデルではありません。背景にあるのは、キャリア観の変化です。

今、多くの管理職が感じている違和感は、メンバーの“能力不足”ではなく、マネジメントのモデルと時代のズレから生じています。

たとえば、
「細かく指示を出しても動かない」
「そもそも何を目指して働いているのか見えない」
「やりがいを重視しすぎて、組織目標との接続が弱い」

こうした現象は、いずれも“キャリアの現在地”が上司と部下で一致していないことが原因です。

管理職は、メンバーのキャリアを支援しつつ、組織目標と接続する新しいマネジメントに移行する必要があります。これが「キャリア支援型マネジメント」です。

■ 指導型マネジメントの限界

指導型スタイルは、仕事を覚える段階では効果的でした。
しかし、今の働き手は、昭和〜平成のモデルとは前提が異なります。

・メンバーの動機づけが「昇進」ではなく、「成長・納得感・働きがい」に移行
・価値観の幅が広く、画一的な指導では届かない
・キャリアの時間感覚が短期化し、先の見通しが立てにくい
・“変化し続けるスキルセット”が求められるため、指示待ち文化と相性が悪い

つまり、指導型は「同質性が前提」のモデル。
今必要なのは「異質性を活かす」モデルです。

■ 管理職が担うべき“キャリア支援”の構造

キャリア支援型マネジメントの中核は、次の3層で構成されます。

(1)メンバーのキャリアの現在地を把握する
価値観、得意、志向性、仕事の意味づけ、伸ばしたい能力など。
キャリアは“内省”なしには語れませんが、その内省を引き出す橋渡しが管理職の役割です。

(2)個のキャリアと、組織目的を接続する
キャリアは「個の物語」。事業は「組織の物語」。
この二つのストーリーの接合点を設計するのがキャリア支援型マネジメントです。

(3)仕事を“経験資本”として蓄積させる
経験は自然に学びになりません。
挑戦の構造、フィードバックの質、振り返りの習慣が揃って初めて、経験は資本に変わります。この構造が整うと、部下は上司に依存せず、同時に勝手に暴走もしない、しなやかな自律性を発揮します。

■「よくある管理職の声」

・「1on1を週に何度もやっているのに手応えがない」
・「話は聞くが、部下の本音が出てこない」
・「結局、業務の相談ばかりでキャリアの話に進まない」
・「成果につながっているのかわからない」

これらはすべて、やり方の問題ではなく、設計思想が“指導型”のままであることが原因です。

■ 研修プログラム例:キャリア支援型マネジメント研修

▶主な構成案

第1部:キャリア観の変容と、管理職が抱える新しい課題
・世代別キャリア観の違い(事例)
・“自律型人材”の啓発によるマネジメントの変質
・指導型スタイルが通用しない構造的理由

第2部:キャリア支援型マネジメントの基本設計
・部下のキャリア“現在地を知る
・価値観・志向性・能力要素の可視化
・職務とキャリアを接続させる「キャリア接点設計メソッド」
・対話の型:問いの筋道・深度調整・モチベーション探索

第3部:1on1・評価面談を“キャリア支援”に変える技術
・1on1で本音を引き出す設計
・「業務」→「経験」→「成長」の三段階フレーム
・評価面談を成長デザインに変換するフィードバック技術

第4部:部下が自走し、チームが自律するマネジメント実践
・役割分担の再設計
・中堅層が“活躍の踊り場”を超えるための支援
・若手のキャリア不安を支える働きかけ
・実践プラン作成とフォロー設計

▶ 期待される効果

・部下の本音が引き出されるため、1on1が“投資”に変わる
・中堅層の停滞が解消し、再エンゲージメントが進む
・離職リスクの早期発見が可能になる
・キャリア支援を通じてチームの心理的安全性が高まる
・管理職のマネジメント負担が軽減され、再現性が生まれる

▶なぜこの研修が必要なのか

管理職がキャリア支援型マネジメントを身につけることは、「優しいマネジメント」ではなく、「事業の成長に不可欠な管理職の基幹スキル」だからです。

・人が定着しない
・若手が育たない
・中堅が止まる
・管理職が疲弊する

これらはすべて“キャリア観の非対称性”が根本原因です。

世代ギャップでも性格の違いでもなく、構造的問題です。
そして構造には、設計で応えられます。

■ 1on1の成功要因と落とし穴

多くの企業で、1on1は導入されたものの、形式的な“面談の時間”になってしまい、部下が本当に話したいことに到達できていないという声が聞かれます。「何を聞けばよいのかわからない」「部下の本音が出てこない」など、管理職自身が戸惑うケースも少なくありません。

成功要因
・評価と切り離した運用
・部下の価値観・志向性の棚卸し
・「日々の業務」と「中長期の成長」を接続する問い
・上司側の“聞く技術”よりも“構造理解”のほうが本質的には重要

落とし穴
・1on1が「業務の進捗確認」で終わる
・表面的な会話から抜け出せない
・そもそもキャリアの定義が曖昧
・上司と部下でキャリア観にズレがあるまま実施

つまり、1on1は“運用技術”ではなく“思想”で成果が変わります。

■ まとめ:管理職の役割は「キャリアの媒介者」へ

組織は事業を、個人は人生をそれぞれ進めています。
その二つを結びつける媒介者として、管理職はこれからもっと重要になります。

キャリア支援型マネジメントは、
・離職率低下
・中堅層の再エンゲージメント
・若手の育成力向上
・管理職の負担軽減
を同時に達成できる、数少ないマネジメント戦略です。

管理職がメンバーのキャリアの構造を理解すると、組織の成果だけでなく、管理職自身のキャリアの軸も明確になります。こうしたテーマは、一人で考えるより、第三者の視点が入ったほうが整理が進む領域です。

御社が次に強化すべき中核能力は、まさにここにあるのではないでしょうか。