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理念浸透から“理念体現”へ──パーパス経営におけるキャリア開発の役割

2025.6.9 インサイド・アウト

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はじめに──「理念はある」が「理念で動いていない」現場

経営理念・パーパスを掲げている企業は、今や珍しくありません。 しかし、実際の現場から聞こえてくるのは、こんな声です。

  • 「理念は知っているけど、日常業務とのつながりを感じない」
  • 「朝礼で唱和するだけで、実感が伴わない」
  • 「経営層の言葉に“自分ごと感”がない」

理念が浸透していないのではなく、“体現されていない”のです。

パーパス経営とは、理念が“社員一人ひとりの行動原理”として根づいたとき、初めて機能します。 その実現において、キャリア開発は単なる人材育成の一手段ではなく、“理念の体現を促す装置”として、決定的な役割を担います。

インサイド・アウト──社員の“内なる動機”とパーパスの交差点

インサイド・アウトの視点に立つとき、理念を体現するとは、社員一人ひとりの“内なる動機”と理念が交わる点を見出す営みです。

つまり、

経営理念が“掲げられたもの”から、“語られるもの”へ、そして“生きられるもの”へと変化するには、個人の内面からの接続が不可欠なのです。

ここでキャリア開発が果たすべきは、

  • 理念と自分の価値観がどう重なるのかを見出す場の提供
  • 自身のキャリアと組織の未来を“つなぎ直す”機会の創出
  • 日々の意思決定を理念に照らして省みる習慣の定着

このような“内省とつながり直し”のプロセスを、組織としてデザインすることに他なりません。

理念を“体現できる組織”の3つの特徴

理念を掲げることと、体現されることの間には、大きな隔たりがあります。 理念を“語る”組織から“体現する”組織へと進化するために、必要な組織文化の特徴は以下の通りです。

1. 理念が「思考停止ワード」になっていない

理念は、日常に引き寄せてこそ力を持ちます。 「当社の理念に照らして言うと……」という発言が、 現場で生きているかどうかが重要です。

理念を掲げて満足するのではなく、理念を“問い直す”姿勢があるか。 社員が、「本当にこれは理念と合っているのか?」と立ち止まれる風土こそ、体現の土壌です。

2. 理念を「話題にしていい空気」がある

理念は、押し付けるものではなく、対話によって耕すものです。

  • 経営者の語りに対して自由にフィードバックできる
  • 日々の出来事を理念の視点で語り直す場がある
  • 「理念って何のためにあるの?」と疑問を口にできる

このような空気が、理念の内面化=内なる納得感を生み出します。

3. 理念を「自分のキャリアで語れる」社員がいる

理念とキャリアは、乖離していては意味がありません。

「この会社にいる意味は、理念とここでの仕事が、自分の人生と接続しているからだ」

そう語れる社員が、理念の“翻訳者”として、組織全体に影響を及ぼします。

理念体現とキャリア開発を結ぶ、実践のフレームワーク

理念体現をキャリア開発と結びつけるには、組織内で以下のようなステップを踏むことが有効です。

ステップ1:理念 × 自己理解ワークショップ

  • 理念のキーワードと、自分の価値観・原体験を照らし合わせる
  • 「自分にとってこの理念は何か?」を言語化する

ステップ2:ストーリーとしてのキャリア対話

  • 理念を起点に、自身のキャリアストーリーを再構成
  • 社内の同士で語り、聴き合い、対話から学ぶ

ステップ3:理念視点での目標設計・振り返り

  • 日常業務の目標を理念に照らして設計する
  • 定期的に理念との接続を振り返る習慣をつくる

このようにして、理念を“内面化し、日常の意思決定に活かす”という循環が、キャリア開発の一環として生まれていきます。

おわりに──理念は“目指す旗”ではなく、“内なるコンパス”である

経営理念を、単なる旗印に止めていてはもったいありません。

社員一人ひとりが、“自分ごと”として生きる内なるコンパスとして機能してはじめて、組織の推進力になります。

そのためには、理念を“正解”として一方的に伝えるのではなく、 社員のキャリアの中に息づかせる対話と内省のプロセスが必要です。

キャリア開発とは、単に「どう働くか」を考えるものではありません。 それは、「なぜ働くのか」「何のためにここにいるのか」という、組織の存在意義=パーパスに社員が自分自身の人生を重ねていく営みです。

理念体現とは、行動を強制するものではなく、内面から行動が自然と生まれる“土壌”を耕すこと。

キャリア開発というプロセスを通して、 理念が“掲げられる”から“生きられる”へと変わる瞬間に、組織の未来が開かれていくのを目の当たりにすることができるのです。