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私たちが組織に属して働くとき、意識せずとも様々な期待や役割を背負います。その過程で、自らの意思ではなく、組織に従うことが前提となった働き方に慣れてしまっている方も多いのではないでしょうか。
とくに近年、ミドル層や若手社員から聞こえてくるのは、「やらされ感」「上から言われたから」「与えられた目標を追うだけ」という言葉です。
しかし、それでは個々人の力を最大限に活かすことはできません。企業の成長にとって、社員一人ひとりが“自らの意思で動く”こと、つまり「自律」した行動をとれる状態にあることが、極めて重要になってきています。
では、その「自律」とは何か？どうすれば育めるのか？本記事では、キャリア開発研修の本質的な役割について掘り下げます。
■「自律」とは、決して“放任”ではない
まず最初に誤解を解いておきたいのは、「自律」は「自分勝手」とは違うということです。
組織における自律とは、組織の目的と自分自身の価値観・目標がつながった状態で、自分の頭で考え、判断し、行動を選択できる力です。
この状態を育てるには、外から強制されるのではなく、内側から湧き上がる納得感と意思決定が必要です。
そのためにキャリア開発研修が果たすべき最大の機能は、言わば「内省の触媒」になることでもあります。
■“与えられる目標”から、“選び取る目標”へ
これまで多くの企業では、会社が用意した評価制度や目標管理の枠組みの中で、社員に対して業務目標を与えるスタイルが主流でした。
その結果、社員は目標に納得していないまま、“やらされている感覚”のまま行動する構図が生まれました。
しかし、VUCA時代とも言われる予測不能な現代においては、このようなトップダウンの目標設定は限界を迎えています。社員一人ひとりが、自らの視点で「何を目指すか」「何を大切にするか」を選び取り、その上で会社の方向性と接続することが求められています。
そのために、キャリアの視点から自分の価値観・強み・働く意味を見つめ直す内省の時間が必要なのです。
■「内発的動機づけ」がエンゲージメントを高める
エンゲージメントとは、単なる従業員満足度ではありません。自分の仕事や組織に対して主体的・能動的に関わる心理的な状態を指します。
このエンゲージメントの源泉となるのが、内発的動機づけです。
人は、「誰かに言われたから」ではなく、「自分がやりたいから」「意味があると感じるから」動くとき、最もパワフルな力を発揮します。
キャリア開発研修は、この“自分で意味づけを行う力”を引き出す仕組みです。
「なぜ私はこの仕事をしているのか？」
「どんな未来を描いて働いているのか？」
こうした問いに丁寧に向き合うことで、仕事の中に“自らの選択＝自分自身”を取り戻していくことができるのです。
■「正解がない時代」の働き方を支える基盤
かつてのように、年功序列・終身雇用・明確な昇進ルートが存在する時代であれば、キャリアとは与えられるものでした。
しかし、今や正解はなく、キャリアは“選び取っていくもの”へと大きく変化しています。どのような人生を描き、どのように働くかは、一人ひとりが考え、言語化し、行動に落とし込んでいく必要があります。
このような文脈において、キャリア開発研修は、単なる“キャリアの棚卸し”ではなく、未来に向けた意思決定のトレーニングでもあります。
■自己実現と企業成長は対立しない
私の事務所が目指しているのは、「唯一無二の自分を極める」ことで、社員一人ひとりが主役として生きる社会の実現です。
そして、それは決して企業の利益と矛盾しません。むしろ、社員の自己実現が、企業の競争優位に直結する時代が到来しているのです。
「自分の言葉で、自分のキャリアを語れる社員」
「自分の意思で、組織の未来に貢献する社員」
そうした人材が増えることで、組織の対話の質が高まり、部門間の協働が促進され、変化対応力が格段に向上していきます。
■「キャリア開発研修」は経営戦略である
一過性のスキル研修では、本質的な変化は起きません。
人が行動を変えるのは、「意味づけ」が変わったときです。
そしてその意味づけを支えるのが、キャリア観の再構築です。
キャリア開発研修は、人材育成の一環ではなく、経営戦略に直結する人づくりのインフラであり、内発的変革のエンジンです。
■おわりに
社員を“管理”する時代は終わりました。これからは、社員が「自分を選び、自分で働く時代」です。
自律とは、命じられるままに働くことではなく、自らの意思で価値を生み出していくこと。そのために、キャリア開発研修は存在します。
私はこの一つの研修を通じて、社員の内側にある力を信じ、引き出し、組織と社会の未来をつくるお手伝いをしています。
ご関心をお持ちいただいた企業様、どうぞお気軽にお問い合わせください。
ともに、“唯一無二の自分”を生きる社員と、“自律する組織”を育てていきましょう。
