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はじめに:静かに起きている“若手の喪失”
「3年で3割が辞める時代」──この言葉がすでに陳腐に聞こえるほど、若手社員の早期離職は多くの企業にとって“当たり前の課題”となっています。離職理由は「思っていた仕事と違った」「上司と合わなかった」「将来が見えなかった」など、実にさまざま。しかし、それらの理由の奥底には、共通する“沈黙”が潜んでいます。
それは、自らのキャリアを語ることができない、という沈黙です。
離職の本質は「若手が語れないこと」にあります。語れないということは、考えられていない、考えていても言語化されていない、もしくは語る場が与えられていないという状態です。そして、この“語れなさ”は、個人の問題であると同時に、組織の構造的な問題でもあります。
本記事では、若手離職の背景にある「キャリアの語れなさ」に光を当てながら、キャリア開発支援を経営戦略の一環として位置付ける重要性を共有できればありがたく思います。
キャリアを“語れる”ということの意味
人は、自分の未来に意味を見出せるときにこそ、その場所に「とどまる」ことができます。そして意味とは、与えられるものではなく、自ら掴み取り、紡ぎ出していくものです。キャリアにおいて“語れる”とは、自らの価値観や希望を認識し、それを言葉にしながら、組織との接点やズレを主体的に見つめるという営みです。
しかし現実には、多くの若手社員が「何を語ればいいか分からない」状態にあります。新卒研修で社会人のマナーを教えることはあっても、「あなたはどんな人生を歩みたいのか」「仕事に何を期待しているのか」を問う機会はほとんどありません。
結果として、彼らは“静かに離れていく”。組織に違和感を覚えても言語化できず、上司に相談することもできず、自らの可能性にふたをしたまま、心を閉ざしていくのです。
離職は「意思決定」ではなく「語れなさの出口」
ここで一つの重要な視点を提示します。それは、「若手の離職は意思決定の結果ではなく、語れなさの末にたどり着く“出口”である」という視点です。
組織の側から見れば「なぜ辞めるのか」と思う離職理由でも、当人にとっては“語れない葛藤”を唯一解決する手段が「辞めること」だった、というケースは少なくありません。
これは、若手がわがままなのでも、打たれ弱いからでもありません。むしろ、自らの言葉を持たぬまま放置されてきたことへの、極めて自然な帰結なのです。
キャリア対話の力──「聞くこと」が経営を変える
では、企業側は何をすべきなのでしょうか。
答えは明確です。
キャリア対話の文化を、組織の中核に据えること。つまり、社員一人ひとりが自分のキャリアを語り、組織がそれを受け止める関係性を構築することです。
キャリア対話とは、単なる面談や雑談ではありません。そこには意図があり、信頼があり、構造があります。特に若手社員との対話においては、以下のような要素が重要です:
- 過去の棚卸し:どんな価値観を育んできたのか?
- 現在地の確認:今、何にエネルギーを感じているのか?
- 未来の仮説立て:これからどんな働き方・生き方をしたいのか?
このようなプロセスを通して、社員は自らのキャリアに意味を与え、それを語れるようになります。
組織が耳を傾けることで、若手社員は初めて「ここで働く理由」を自ら見出し、能動的に行動し始めます。そしてこの循環こそが、離職防止の最も本質的な解決策です。
キャリア開発支援を経営戦略にするという選択
本質的な問いをしましょう。
若手が辞めるのを「仕方ない」と受け入れるのか。
それとも、「語れる環境を創る」ことに投資するのか。
企業が今後持続的に成長していくためには、単なるリテンション(引き止め)ではなく、キャリア開発を軸とした組織づくりへの転換が不可欠です。これは人事部という一部署だけの仕事ではなく、経営の中核に位置づけられるべきテーマです。
キャリア開発支援を戦略として位置付けたとき、企業が得るリターンは計り知れません:
- 自律的に動ける人材が育つ
- 上司部下間の信頼関係が深まる
- 組織の心理的安全性が高まる
- 結果として、離職率が下がる
人が変われば、組織が変わる。そして組織が変われば、社会が変わります。
「一人ひとりを主語にする組織」へ
今、必要なのは“正しい評価制度”でも“流行りの福利厚生”でもありません。必要なのは、社員一人ひとりを主語にした対話です。
一人ひとりの人生は、唯一無二です。その唯一無二を活かすことこそが、企業の唯一無二の競争力を生みます。働き方の多様性が当たり前になった今、「人をコストではなく資本として扱う」ことの真価が問われています。
キャリア対話は、働く人の尊厳を取り戻す営みです。
企業という器が、一人ひとりの物語を支え、後押しする場所となるとき──若手の離職は“課題”ではなく、“未来への起点”となるでしょう。
終わりに:対話から始まる変革
若手の離職を防ぐために、制度を整えるのも、評価を見直すのも、大切な取り組みです。しかし、それだけでは届かない領域があります。
「なぜここにいるのか」 「私はどう生きたいのか」
こうした根源的な問いに耳を傾け、一緒に言葉にしていく営み。それがキャリア対話であり、それを推進することが、経営にとっての未来投資です。
あなたの組織では、社員が「自分のキャリアを語る場」がありますか?
もし答えがNOなら、そこから始めましょう。語れる環境づくりこそが、組織の持続可能性の土台なのです。
当事務所が、キャリア開発支援を経営戦略に位置づける伴走者として、組織と個人の架け橋となります。
変化は、対話から始まります。