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制度と人は、キャリア観でつながる──キャリア面談制度を“活かす”土台づくりとは?

2025.5.31 キャリア開発

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■ はじめに──制度があっても、人は動かない理由

多くの企業が、キャリア面談制度を導入しています。
上司との定期的な対話を通じて、社員のキャリア支援を行う仕組み。
これ自体は、間違いなく“善意”から生まれた制度です。

にもかかわらず、現場ではこうした声が聞こえてきます。

  • 「結局、面談の場が業務進捗の確認になっている」
  • 「社員側は“答えなきゃ”と、用意された答えを話しているだけ」
  • 「面談を重ねても、キャリアの悩みは深まる一方」

制度はある。しかし、人の内面には何の変化も起きていない
なぜでしょうか?

それは、制度の“手前”にあるべき問いが、抜け落ちているからです。
すなわち、「キャリアとは何か」「働くとはどういう営みか」という根本的な問い――
キャリア観という土台が、明確に共有されていないからです。

制度と人は、キャリア観でしかつながらない。
このことが反映されない限り、どんなに制度を整備しても、それは空回りします。

本記事では、「キャリア面談制度を活かす」というテーマを通じて、
制度設計と人の内発的成長をつなぐ“思想”についてお話しします。

■ そもそも「キャリア観」とは何か?

まず確認しておきたいのは、「キャリア観」とは単なる将来設計や目標意識のことではありません。

キャリア観とは、その人が働く意味をどう捉えているかという「存在の見方」です。

  • なぜ働くのか
  • 働くことを通じて、どのように人生を形づくりたいのか
  • 組織や社会と、どのように関わっていきたいのか

こうした問いの積み重ねの中から浮かび上がる、その人固有の“人生観”のこと。
言い換えれば、仕事を人生の中でどう位置づけるかという哲学なのです。

この「キャリア観」こそが、キャリア面談制度の実効性を左右する“見えない前提”です。

■ 制度を活かす土台とは「内発的な納得感」のこと

制度は、外から与えられる枠組みです。
一方、人の行動を動機づけるものは、内側から湧き上がる納得感です。

この“外”と“内”の接続がなければ、制度は制度のまま終わります。
むしろ、表面的に制度に合わせることに慣れた社員は、「思考停止の優等生」になる危険すらあり得ます。

だからこそ重要なのは、制度を運用する前段階として、社員一人ひとりが自らのキャリア観に出会い、
「自分は何を大切にしたいのか」「どのように働きたいのか」を言葉にできる状態をつくることです。

これが、私が研修や支援を通じて提供している「キャリア開発=内省支援」です。

制度はきっかけでしかありません。
制度を意味あるものに変えるのは、人の内側にある問いなのです。

■ なぜ制度だけでは、動機は生まれないのか?

よく、「面談が形骸化している」という声を聞きます。
その背景には、多くの場合、次のような“誤解”があります。

誤解①:「上司が引き出せば、部下は話すだろう」

実際には、自分のキャリア観に向き合ったことのない部下は、引き出されても話せません。
あるいは、「正解らしいこと」を話そうとするため、本音が出てきません。

キャリア観は、上司に引き出されるものではなく、本人の内側で言語化されるべきものなのです。

誤解②:「社員は制度があるだけで安心する」

制度があることで「ちゃんと会社は考えてくれている」と思う社員もいるでしょう。
しかし、それだけで行動や意欲が変わることはありません。

人が本当に動くのは、「自分の言葉で自分の働き方を語れるとき」です。
その状態を支えるのが、キャリア観という“内なる土台”です。

■ キャリア面談制度を「活かす」ための3つの前提

ここで、制度を“運用する”のではなく、“活かす”ための本質的な前提を3つ提示します。

① キャリア面談は、問いを深める場である

上司が結論を急ぎ、評価につなげようとした瞬間、面談はただの業務指導に変わります。

キャリア面談の本質は、「まだ形にならない想い」に触れ、それを共に考える場であること。
そのためには、上司自身が「問いの力」「傾聴の力」を持ち、急がず、整えず、共にいる姿勢が必要です。

② 面談制度の前に「キャリア観を育む仕組み」が必要である

いきなり面談だけを導入しても、社員側に“話す土台”がありません。
必要なのは、対話と内省の積み重ねの機会です。

たとえば──

  • 内省型のキャリア研修
  • キャリアの定義を共有するワークショップ
  • 自己理解を深めるジャーナリングや1on1の仕組み

こうした「自分と向き合うプロセス」が面談制度を機能させる“前提条件”なのです。

③ 制度と文化をつなげる「思想」が求められている

キャリア面談は制度であると同時に、文化でもあります。

  • この組織は、どのようなキャリアを尊重しているのか
  • 多様な価値観をどこまで許容するのか
  • 成長とは、どう定義されているのか

これらに明確なビジョンや哲学がなければ、制度は孤立します。
制度を制度以上のものにするには、組織の“キャリア思想”が必要なのです。

■ キャリア開発を「経営戦略」に位置づけるということ

私は、「キャリア開発研修」を単なる人材育成の一部とは見ていません。
それは、経営戦略の中核に据えるべき取り組みだと考えています。

なぜなら──

  • 人が自律的に働くこと
  • 内発的動機で動けること
  • 組織と自己の目的を接続できること

この3点こそが、今の時代における持続可能な組織の最大資産だからです。

制度、対話、育成、評価、報酬、すべてが「キャリア観」という軸で統合されるとき、
組織は「単なる仕組みの集合体」ではなく、「意味のある場」へと変わります。

■ 制度は、“思想”を運ぶ器である

制度とは、「思想を運ぶ器」です。
思想がない制度は、ただのマニュアルに堕します。
逆に、明確な思想が制度に宿るとき、それは文化となり、人を動かします。

キャリア面談制度を活かしたいなら、問うべきは制度設計そのものではなく、
「私たちは、人とキャリアをどう捉える組織なのか」という問いです。

私は、キャリア開発支援を通して、制度を“活かす”土台──
すなわち、社員の内面から立ち上がる納得感と、組織の思想が響き合う構造をつくっていきます。

制度と人を、キャリア観でつなげる。
そこにこそ、これからの組織の希望があります。

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当事務所では、キャリア開発を経営戦略の一部として位置づけ、
制度と人の間にある“見えない壁”を取り除く支援を行っています。

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