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キャリア構築理論から学ぶ、組織力最大化への道

2025.3.14 組織力最大化への知のストック

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キャリア構築理論とは?——個の成長が組織の力を引き出す

キャリア構築理論(Career Construction Theory)は、マーク・サビカス(Mark Savickas)によって提唱されたキャリア発達の理論であり、個人が環境との相互作用の中でキャリアを「構築」していく過程を説明します。

従来のキャリア理論は、個人の成長や能力開発を直線的・段階的なものとして捉える傾向がありました。しかし、サビカスのキャリア構築理論は、キャリアを「ストーリーの構築」とみなし、主体的に意味を与えながらキャリアを発展させていくことに焦点を当てています。

現代の組織では、個人が変化の激しい環境の中で柔軟にキャリアを築く力が求められています。本記事では、この理論を組織運営に応用することで、社員一人ひとりの成長を促し、組織全体の力を最大化する方法を考えていきます。

キャリア構築理論の解説

① キャリア適応性(Career Adaptability)

サビカスは、個人がキャリアを発展させるためには「キャリア適応性」(Career Adaptability)が不可欠であると述べています。キャリア適応性とは、環境の変化に対応し、主体的にキャリアを築いていく力のことです。

キャリア適応性は、以下の4つの要素から構成されます。

  1. 関心(Concern):将来のキャリアに対する意識を持ち、計画的に行動する力
  2. 統制(Control):自分のキャリアを主体的に切り開く意思と責任感
  3. 好奇心(Curiosity):新しい可能性を探求し、多様な経験を積む力
  4. 自信(Confidence):挑戦に対する自己効力感

この4つの要素が高い人ほど、変化の激しい時代でも柔軟にキャリアを構築し、成長し続けることができます。

② キャリア・ストーリーの構築

キャリア構築理論では、キャリアは単なる職業の選択ではなく、「個人が自己の人生に意味を与え、物語を紡いでいく過程」であるとされます。

サビカスは、キャリア・ストーリーを形成する要素として、「ライフテーマ(Life Themes)」を重視しました。ライフテーマとは、個人が過去の経験を通じて形成する価値観や動機であり、キャリアの意思決定に影響を与えます。

組織が社員のキャリア・ストーリーを尊重し、個々のライフテーマと組織の目的を結びつけることができれば、社員はより主体的に組織の成長に貢献するようになります。

③ 主観的キャリアと客観的キャリアの統合

従来のキャリア理論では、昇進や職歴といった「客観的キャリア」が重視されてきました。しかし、サビカスは「主観的キャリア」の重要性を説いています。

  • 客観的キャリア:役職や給与、スキルなど外部から評価可能なキャリアの側面
  • 主観的キャリア:仕事に対する意義や満足感、成長の実感など、内面的なキャリアの側面

組織が社員の主観的キャリアを重視し、働く意味を提供することで、社員のエンゲージメントが向上し、結果的に組織力が強化されます。

キャリア構築理論を活かした組織力最大化の実践

① 組織のキャリア適応性を高める環境を整える

キャリア適応性の4要素(関心・統制・好奇心・自信)を組織全体で促進するために、以下のような取り組みが有効です。

  • 関心 → キャリア開発プログラムを定期的に実施し、社員の未来志向を促す
  • 統制 → 社員が自律的にキャリアを選択できるよう、柔軟なキャリアパスを用意する
  • 好奇心 → 他部署との異動や新規プロジェクトへの参加を促し、経験の幅を広げる
  • 自信 → 成功体験を積み重ねられる評価制度を整え、挑戦を支援する

② キャリア・ストーリーを組織のビジョンと結びつける

組織が社員のライフテーマを理解し、それを尊重することで、社員は自分の仕事に意味を見出しやすくなります。例えば、定期的なキャリア・カウンセリングを実施し、個々の価値観や目標を明確にすることで、組織のビジョンと個人のキャリアを統合できます。

③ 主観的キャリアの充実を図る

昇進や給与だけでなく、「自己実現」や「成長の実感」を重視する組織文化を作ることが重要です。例えば、以下のような取り組みが考えられます。

  • パーパス・ドリブンな評価制度 → 「どれだけ売上を上げたか」ではなく、「どれだけ自己成長したか」「組織の目的に貢献したか」を評価する
  • ナラティブ・キャリア開発 → 社員自身が自分のキャリアを振り返り、ストーリーとして語る機会を設ける
  • キャリア・モビリティの促進 → 社内の新たな挑戦の機会を提供し、「自分の物語を広げられる場」を作る

キャリア構築理論的組織力最大化

キャリア構築理論を取り入れることで、組織は単なる「労働の場」ではなく、「個人が自己実現する場」へと進化します。その結果、以下のようなメリットが生まれます。

社員の主体性が向上し、イノベーションが生まれやすくなる
個々のキャリア成長が組織の成長とリンクし、持続的な発展が可能になる
「仕事の意味」を感じることで、モチベーションとエンゲージメントが高まる
優秀な人材が定着し、組織全体の競争力が向上する

組織の成長は、社員一人ひとりのキャリア構築の延長線上にあります。唯一無二のキャリアを築く社員が増えることで、組織も唯一無二の存在へと進化するのです。

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